清元「十六夜」

曲目の解説

今回は清元「十六夜」についてお話ししましょう。

本名題は、「梅 柳 中 宵 月(うめやなぎなかもよひづき) 主人公の名を略称に使って「十六夜」または「清心」という 初演は、安政6年(1,859)2月の江戸市村座の興行に上演された黙阿弥 物「小袖曽我薊色縫(こそでそがあざみのいろぬい)の第1番目4立目の浄瑠璃 として作られたものです。 鎌倉の極楽寺の所化(修業僧)清心は、大磯の遊女十六夜と馴れ初め女犯の罪で追放される。稲瀬川の堤へ来かかった清心は、折から廓を抜けてきた十六夜と逢う。 十六夜はどこえなりと連れて行ってくれと頼むが、清心はそれを断り、京へ上って修業したいという。 どうしても聞き入れてくれないとあきらめた十六夜は、身を投げて死のうとしたので、これを引留め、清心の子まで宿していることを知り、共々に死のうと決心した二人は、凍る夜寒の川淀へと・・・

“ この世で添はれぬ二人が悪縁、死なうと覚悟極めし上は少しも早う”

と曲はここで終わっています。 このあと、清心は死に切れず、川から這い上がり、十六夜も川下で悪人に助けられ、後の幕で鬼薊の清吉とお小夜という悪人になります。 この浄瑠璃は、朧夜に星の影さえ二つ三つ~と美しい絵のように始まり 「今更言うも愚痴ながらから、うらみ嘆くぞ誠なる」までが十六夜のクドキとなり聞きどころとなっている。

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