明鳥の解説(第5回)

本名題は「明鳥花の濡衣(あけがらすはなのぬれぎぬ)」
明和6年(1769)の実話の心中事件を脚色した新内(明烏夢の泡雪)を清元に改作したものである。
新内の旋律は随所に見られ,清元の中で最も新内を受け継いだ曲と言える。
上の巻 「花魁浦里の部屋」と下の巻 「山名屋奥庭の段」に分かれ
上の巻では春日屋時次郎と浦里との店に隠れての忍び逢いが知られ引き裂かれてしまう場面となっている。
下の巻は山名屋の庭先 降りつもる雪の中、庭の古木にくくりつけられ、遣り手の萱から時次郎と別れろと、折檻(せっかん)を受ける雪責めの段となっております。
昨日の花は今日の夢今は我が身につまされて~是非もなやは、別の二階座敷から聞こえてくる三味線の音が、(効果音楽としての余所事浄瑠璃的な役目)、そして、それを聞く浦里の悲しみをかき立て、私達にも切々と哀しさが伝わってきます。
クドキは、たとえこの身は泡雪と共に消ゆるも厭わぬが~前後正体なかりけり の部分である。

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